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  • 文学部哲学科
  • 哲学専攻

澤田和範 SAWADA Kazunori

英米哲学 / 准教授

自己紹介

大阪生まれ。京都大学で哲学を学んで、2020年に博士号を取得しました。2023年に学習院大学文学部哲学科に着任。関西を離れたのは初めてです。

研究分野

18世紀スコットランドの哲学者デイヴィッド・ヒュームを中心に、近現代の英米哲学を研究しています。私の研究スタイルは、当時の文献を当時の文脈を重視しながら読み解く思想史的な方法に、現代哲学から学んだ道具や問題意識を通して批判的な議論を展開する方法を併用するものです。こうした異なる手法の両立はたしかに難しく、下手をすると現代の哲学的関心をヒューム哲学に乱暴に投げ入れてしまうことになります。つまり、アナクロニズム(時代錯誤)の危険と隣合わせです。

しかし、過去の哲学者の思想から学ぼうとするかぎり、ある程度は自分たち自身の観点から、それを批判的に検討することになるのは自然だとも考えます。他者の思想を自分がどこまでも客観的に見つめられると錯覚するよりは、むしろ、現在の自分たちの問題関心に自覚的になることが、かえって思想史研究の必要性も浮き彫りにしてくれると信じます。

著作

  • 単著
    ・『ヒュームの自然主義と懐疑主義:統合的解釈の試み』(勁草書房、2021年)。
  • 主要論文
    ・「ヒュームにおける自然主義的両立論:『人間の学』による因果・人格・責任」(関西哲学会『アルケー』第27号, 2019年)
    ・「ヒュームの人種差別主義の哲学的基礎」(岩波書店『思想』2021年11月号)
    ・「バーナード・ウィリアムズの『道徳的運』を取り戻す」(『関西学院哲学研究年報』第56輯, 2023年)

所属学会

日本イギリス哲学会、ヒューム研究学会、関西哲学会、日本哲学会、The Hume Society

担当授業(学部)

・思想史I/II
・基礎演習A
・思想史演習I
・哲学講義

哲学科で/特に、私のゼミで学ぶ人たちへ

哲学の「修行」ではテキストを読んで考えることが重要です。と言われても困るでしょうから、授業ではどういう言葉に注目したらよいのか、どこから考え始めればよいのかというような、いわば「哲学的に考えるコツ」のようなノウハウの話をしばしばしています。逆に言うと、学生の皆さんは授業で聞いたことを持ち帰って、自分自身でそのノウハウを実践してもらう必要があります。哲学は聞くものではなくて各人がするものです。おそらく哲学にも「守破離」がある、というのが私の考えです。

もっと一般的なことを言えば、大学では「できなかったことができるようになる」という楽しい経験をしてほしいと思っているんですね。哲学の勉強なら、最初は読めなかった外国語が少し読めるようになるとか。意味が分からなかった哲学者の難しい議論がだんだん分かるようになるとか。そういった経験を何度か繰り返していると、「できなかったことができるようになる」ということが、できるようになります。言い換えると、どうすればうまく行くのか――そのやり方を考えて工夫する「習慣」(custom and habit) が身につくおかげで、これまでできなかったいろいろなことが、できるようになります。もちろん、そのためには、いま自分ができないことをまずやってみないといけないし、その挑戦のなかでは必然的に間違えないといけません。大学ではそうやって何よりも学び方を学んでほしいと思います。まず安全な普段の授業から、そろりそろりと間違えてください。

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