- 文学部哲学科
- 美術史学専攻
近藤 壮 KONDO Takashi
日本美術史 / 教授
自己紹介
茨城県生まれ、千葉県育ち。2024年4月に着任しました。幼いときから絵を描いたり、ものを作ったりすることが好きでした。高校では美術部、大学では、現代アート、映像、デザインなど芸術全般について幅広く学びました。
専門は日本美術史。近世近代の絵画を中心に、視覚イメージの分析から作品が生み出された背景、その意味と機能について関心を向けています。
研究分野
専門は日本美術史、とくに江戸時代の絵画ですが、近現代にいたるあらゆる視覚表象を対象としています。また、これまで博物館の学芸員・館長として展覧会の企画やミュージアムマネジメントなども行ってきました。ミュージアムや文化財と社会との関わりについても研究しています。
江戸時代の絵画に関する研究では、18~19世紀の紀州画壇、京都画壇、大坂画壇を軸とした画家および作品研究、画家たちをめぐるネットワークの解明を行っています。また、絵具と絵画作品に用いられた彩色材料の分析からのアプローチ、江戸時代の女性画家についての研究も進めています。その他、大名文化、公家文化をめぐるネットワークの美術、大名庭園や琉球絵画なども研究対象としています。
これまでの職場
私立の歴史系博物館で4年、公立(地方自治体)の歴史系博物館で16年、美術担当の学芸員として勤めました。その間、地方自治体の本庁勤務が1年半、そこでは文化財行政の仕事も経験しました。また、館長も2年務めました。その後、都内の女子大で4年、日本美術史担当の教員として勤めました。私立と公立、博物館と本庁(文化財行政)、学芸員と館長、女子校と共学、それぞれ経験しましたが、どれも美術・文化財にかかわる仕事でありながら、見える景色は異なります。また、地方から見える美術・文化財の様相は、都市部からでは見えないものばかりです。地方ではいま何が起きているのか?博物館では何が問題になっているのか?学芸員の仕事ってどうなの?こんなことを含めて、これまでの経験をみなさんにお伝えしたいと思っています。
担当授業
・美術史概説
・2年次演習B
・美術史演習Ⅰ
・日本東洋美術史特殊研究(大学院)(学部:美術史講義)
・日本東洋美術史演習(大学院)
主張著書・論文
主要著書
・『東アジアの文人世界と野呂介石』(中谷伸生編・共著、関西大学出版部、2009年)
・『騎馬打毬』(共著、社団法人霞会館、2009年)
・『日本美術全集』14「江戸時代Ⅲ 若冲、応挙、みやこの奇想」(辻惟雄編・共著、小学館、2013年)
・『日本美術全集』6「東アジアのなかの日本美術」(板倉聖哲編・共著、小学館、2015年)
・『博物館の歴史・理論・実践2―博物館を動かす』(今村信隆編・共著、藝術学舎、2018年)
・『まもって、そだてる 和歌山県の博物館活動』(和歌山県立博物館施設活性化事業実行委員会編、2019年)
・『地方史研究の最前線―紀州・和歌山』(和歌山地方史研究会、2020年)など
主要論文
・「程順則着賛本『中山花木図』に関する一考察―(財)海洋博覧会記念公園管理財団所蔵本をめぐって―」(『沖縄文化研究』32号、法政大学沖縄文化研究所、2006年3月)
・「大名庭園『西園』と赤坂離宮―『赤坂御庭図』をめぐって―」(『和歌山市立博物館研究紀要』20号、和歌山市教育委員会、2006年3月)
・「桑山玉洲研究」(『國華』1350号、2008年4月)
・「円山応挙と十八世紀の公家社会―渡辺始興との関係に注目して」(「開館七十五周年記念特別展『円山応挙―「写生」を超えて―』、根津美術館、2016年11月」
・「川端龍子と和歌山」(大田区立龍子記念館 川端龍子没後五十年特別展『龍子の生きざまを見よ!』、大田区立龍子記念館、2017年11月)
・「駿河屋の菓子木型に見る模様」(『共立女子大学文芸学部紀要』67号、共立女子大学文芸学部、2021年2月)
・「共立女子大学博物館蔵『花下遊楽図屏風』について―菱川師宣(菱川派)工房の一様相―」(『共立女子大学博物館紀要』5号、共立女子大学博物館、2022年3月)
学生の皆さんへ
日本美術史という言葉の中には、「日本」「美術」「歴史」の3つの言葉が入っています。「日本」とは何か、「美術」とは何か、「歴史」とは何か、こういった素朴な疑問について、皆さんと一緒に考えたいと思っています。
日本美術史では、国宝や重要文化財に指定されているような美術作品だけではなく、あらゆる造形表現、視覚イメージが対象となります。私たちの社会や日常生活には、様々な視覚イメージがあふれています。そのイメージには、好きなイメージ、苦手なイメージがあると思います。また美術作品にも好きな作品、興味のわかない作品があると思います。では、なぜそのように感じるのか?まずは自分の価値観と向き合い、そのイメージ、美術作品をよく観察すること、そこから始めることが大切だと思っています。
モノ(美術作品)は言葉を発しません。しかし研究して読み解いていくと、その時代や社会の声が聞こえてきます。それが美術史という学問の面白さでもあります。そしてそれを学ぶことは、私たちが生きる現代社会についての分析力や考察力を養うことにも繋がります。そしてその力は、皆さんがこれから直面する社会の様々な問題を解決し、未来を生き抜いていくための力となると信じています。
「日本」「美術」「歴史」について、ぜひ一緒に探求しましょう。